2024年が始まりました

きものテラスタイトル

今年最初のきものテラスは、きものを着る機会の多い冠婚葬祭の謎がテーマ。

新年にちなんで
「冠」について、今年最初のコーヒーブレイク。

と、その前に。

 冠・婚・葬・祭の4文字それぞれ何?

「冠」とは、
本来は元服(げんぷく)と呼ばれる成人の儀式のことです。
「お宮参り」「おひな祭り」「端午の節句」「753」「還暦」「古希」

「婚」とは、
文字通り結婚式のことです。

「葬」とは、
ご葬儀の意味で、ご葬儀は「葬送儀礼」の略です。

「祭」とは、
本来は順調な狩猟や豊作を願い、長寿や健康を祈るための宗教的儀式でした。時代の移り変わりと共に意味合いが変化しており、現在は「年中行事」と認識されています。
年中行事の例としては、「お正月」「節分」「お雛祭り」「お彼岸(春秋)」「花祭り」「端午の節句」「母の日」「父の日」「七夕」「お盆」「敬老の日」「文化の日」等

きものを着る機会は非常にたくさんあります。
それぞれの話はいずれ順を追って…。

では、本題に戻して

「冠」とは、本来は元服(げんぷく)?

奈良時代以降、男子の元服は数え12~16歳の男子が、また、女子の元服も数え年で12~16歳ごろに成人となる儀式として女性も元服に相当する儀式が行われ、結婚と同時にこの儀式も執り行う事も多かったといわれています。

「元」は首(=頭)、「服」は着用を表すので、「頭にをつける」という意味。加冠とも初冠(ういこうぶり)とも言われ、髪形や服装を改めることで、社会的に一人前になったことを示す儀式です。

公家の女子の成人式は裳着(もぎ)腰から下にまとう[裳]もを、身につける儀式を行い、垂らしていた髪も結い上げ大人の髪型をしました。

また、江戸時代以降は、女性の成人儀礼も男性同様「元服」と呼ばれ、結婚したらお歯黒、眉剃りをして髪型を「丸髷(まるまげ)」に変えることをいいました。

裳 ウイキぺリアより

加冠の儀 皇室写真より

[元服]・[裳着]は上流階級のしきたりとして行われていましたが、
庶民がそれぞれの地域で一人前になった証とせて、行っていました。

 成人年齢も時代の変化に伴い変化

日本では明治9年(1876年)に『自今満弐拾年ヲ以テ丁年ト相定候』との太政官布告が出され、満20歳が成年年齢と定められました。その後、明治23年(1890年)の旧民法、明治29年(1896年)の民法にも引き継がれましたが、2022年4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に変わりました。 これによって、18歳、19歳の方は2022年4月1日に成人となりました。

 成人の日・成人式も変化

20歳で成人式が行われるようになったのは、実は戦後のこと。 その発祥は昭和21年(1946年)、埼玉県の蕨市で開催された「青年祭」敗戦による混乱と虚脱感で明日への希望が見えずにいた中、蕨野青年団が中心となり、次代を担う若者たちを勇気づけて励まそうと企画されそれが全国へ広まっていきました。

また、1949年宮中の元服の日から1月15日は[成人の日]と制定され、その後2000年祝日法改正(ハッピーマンデー)により、1月第二月曜日へと変更となりました。

 きもの第一礼装

1889年 地学者志賀重昂の結婚写真より

髪形や服装を改めることで、社会的に一人前になったことを示す儀式に着る。

 羽織袴

羽織の起源は定かではないが重ね着の様式に由来があるとされ、初期には埃よけとして用いられていた羽織が、様式化して正式な装いである羽織袴になったとされている。羽織は形も色も素材も雑多であったが、江戸時代になってまず袴と組み合わせた「羽織袴」が様式化し、武士には日常着、町人には礼服となった。武士の公服としては裃と組み合わせで使用されていたが、明治維新以降に裃が廃止されたこともあり、男子の礼装として普及していった。

日本の結婚式でみられる新郎の和装の紋付羽織袴は、上が黒羽二重の五つ紋付の着物と羽織、下が仙台平の袴、足は白足袋に草履姿である。

五つ紋の位置

和服お仕立て処 和裁屋朝倉HPより

 振袖

振袖は小袖という袖の短い着物から変化したと言われています。江戸時代の前期から袖の長さが徐々に長くなりました。袖が長くなったひとつの理由は、「舞台上で踊りを披露した際に袖が長いと所作が美しく見える」からと言われています。

しかし袖の長い振袖は日常生活に使用するのには向いておらず、特別なときの晴れ着として着用されるようになりました。
そのため振袖は江戸時代から明治時代にかけて未婚女性の第一正装として浸透しました。

Kimono STYLIST しゃなり より

日本では古くから「振る」仕草には厄を払う、お清めなどの意味があります。成人式で着用する振袖には身を清めるという意味合いもあります。
江戸の踊り子が舞台上で、袂(たもと)を前後に振ると求婚拒否、袂を横に振ると求婚を受け入れた、という意味で用いられていました。

また袖にすがることを、哀れみを請う袖を振ると愛情を表すなど、これらの感情表現の動きを未婚の女性が真似して流行したそうです。なお既婚女性の場合は袖を振る必要がなくなるため、長い袖部分を詰めて短くし、留袖にしていました。

現代では恋愛において使われる「振る」「振られる」という言い回しありますが、振袖が由来ではないかと言われています。

また、昔の日本には、「魂振り(たまふり)」という神事がありました。
古代の人々は空中に多くの目に見えない神様がいるとして、空気を揺らすことで、神さまに自分の意思を伝えることができると考えたのです。
昔の人々は空気を揺らす「振る」という動作によって、厄除けや、神様を呼び寄せたり、場を清めていたのです。
神社で鈴を鳴らしたり、柏手を打ったり、神主さんが玉串を振ってお祓いをします、お神輿を揺さぶったりするのも魂振りです。
様々な生活のシーンで使われています。

いってらっしゃい、さようならと手を振る仕草も魂振りです。
お見送りの時に手を振ることによって、旅の無事を神に祈る行為だったのです。

このように、時代の流れの中で、成人の心得・年齢・元服の日・仕草の意味も変化していくこの頃です。
成人の迎えた皆さん、すでに成人をされた皆さん

[冠]の言葉の響きを感じて 大切な人と過ごしては、いかがでしょうか。

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